2025年6月、世界を震撼させたニュースが飛び込んできました。イランとイスラエルが直接衝突し、互いにミサイルとドローンを撃ち合うという、まさに一触即発の軍事衝突。イスラエルはイランの核施設に対して大規模な先制攻撃を行い、イランも報復として数十発のミサイルを発射。一時はアメリカ、ロシア、中国までもが介入の構えを見せ、「第三次世界大戦の幕開けか」と世界中が凍りつきました。
奇跡的とも言える形で停戦が成立しましたが、私たちの心の奥底に残るのは、「これは本当に終わったのか?」「この戦争は何かの“前兆”なのでは?」という不安です。
こうした大規模な中東戦争のたびに注目されるのが、聖書の『ヨハネの黙示録』に記された終末預言です。ハルマゲドン、ゴグとマゴグ、東の王たち──これらは単なる宗教的寓話ではなく、現代の地政学と不気味に符合する部分もあります。
本記事では、イランとイスラエルの停戦の背景を紐解きながら、聖書の終末預言との関連性、そして今後の国際情勢が果たして第三次世界大戦へと進むのかについて、宗教・軍事・外交の3つの視点から徹底検証していきます。
1. イラン・イスラエル間の停戦の事実と背景

2025年6月13日未明、イスラエル軍は「ライジング・ライオン作戦」を発動し、約200機の戦闘機やドローンでイラン国内の核施設や軍事拠点への奇襲攻撃を開始しました。標的にはナタンツ濃縮施設を含む核関連施設のほか、イラン革命防衛隊(IRGC)の司令部やミサイル基地が含まれ、複数の高官や科学者が殺害されたと報じられています。イスラエルの目的はイランの核兵器開発を阻止することにあり、これに対してイランは約100発のドローンや弾道ミサイルで報復攻撃し、イスラエル南部ベエルシェバなど都市部にも着弾がありました。12日間に及ぶ両国間の交戦で、イラン側では約974人(民間人387人を含む)が犠牲となり、イスラエル側でも少なくとも28人が死亡したとされています。戦火は中東全域に拡大しかねない様相を呈し、米国を含む同盟国も緊張を高めました。
紛争が激化する中、アメリカのトランプ大統領は仲介に乗り出し、6月22日には米軍がイランの核関連施設3カ所(フォルド、ナタンツ、イスファハン)への精密空爆を実施します。ワシントンによる介入は核開発の遅延を狙う一方で紛争の拡大リスクも伴い、世界に「より広い地域紛争への発展」への懸念を引き起こしました。実際、米国の攻撃直後にイランはカタールの米軍基地へ数発のミサイルを発射(大半は迎撃され被害なし)し、イラクの米軍駐留基地にもドローン攻撃が仕掛けられるなど、一時は米イラン間の直接衝突に発展する瀬戸際となりました。
しかしトランプ大統領は強硬かつ巧みな外交圧力で双方を停戦に導きます。6月24日、トランプ氏はイスラエルとイランの「完全かつ全面的な停戦」受け入れを発表し、同日午後には戦闘行為の沈静化が確認されました。当初停戦発効直後にイランがミサイル発射を行いイスラエル側も報復爆撃を行うなど不安定な状況でしたが、トランプ氏がネタニヤフ首相に直接電話で強く自制を促したことで最終的に両国は攻撃停止に踏み切ります。イスラエルのネタニヤフ首相は「作戦目標(イランの核・ミサイル脅威除去)は達成された」と述べ、トランプ米大統領の提案した相互停戦に同意したことを表明しました。実際、米軍の空爆によって「イランの核開発を数十年遅らせ、完全破壊した」とする評価もあり、イスラエル政府は米国の軍事支援に謝意を示しています。こうして約12日間に及ぶ戦闘は一応の終結を迎え、現地では米国大使館の通常業務再開や空港の再開など平常への復帰が進められました。しかしながら緊張は依然残っており、ネタニヤフ首相は「停戦違反には今後も強力に対応する」と警告しています。
2. 聖書『黙示録』における関連預言とその解釈
中東でのこの戦火は、聖書が語る終末預言と重ね合わされることがあります。キリスト教の終末論では、ハルマゲドン(Armageddon)やゴグとマゴグなどの戦いが世界終末の兆候として言及されます。ヨハネの黙示録16章では、悪霊的な存在が「全世界の王たち」を集結させ、ヘブライ語でハルマゲドンと呼ばれる場所で最終戦争を起こすと記されています(黙示録16:14–16)。このハルマゲドンの戦いは「全世界を巻き込む終末の大戦」を指すと解釈され、イランを含む中東の諸国も関与するとの見方があります。一部の預言研究者は、この黙示録の記述に登場する「東方の王たち」や「南の王」といった勢力にイランやその同盟国が該当すると考え、最終的に北の勢力(ロシアなど)との全面対決に至ると解釈しています。
他方、旧約聖書エゼキエル書38~39章には**「ゴグとマゴグの戦い」の預言があります。これは「終わりの時」に北方からイスラエルに大軍勢が攻め寄せるという内容で、そこには古名で「ペルシャ」(現在のイラン)や「メシェク」「トバル」といった国々が盟主ゴグに従ってイスラエルを攻撃すると記されています。多くの聖書学者はマゴグ(ゴグの国)=ロシア**、ペルシャ=イランにあたると比定し、この預言が将来のある時点で成就すると考えてきました。今回のイランとイスラエルの軍事衝突は、まさにこのエゼキエル預言に登場するイスラエルvsペルシャ(イラン)の構図を連想させるため、**「ゴグ・マゴグ戦争の序章ではないか」との声も一部で上がっています。ただしエゼキエル書の預言ではロシア(想定されるマゴグ)が主導する多国籍同盟が描かれており、今回はロシアは直接軍事介入していない点で厳密な成就ではなく「予兆・前触れ」**であるとの指摘があります。実際、著名な牧師グレッグ・ローリー氏も「現在の中東情勢は聖書預言そのものの成就ではないが、明らかにそれを想起させる前兆だ」と述べています。
以上のように、聖書の終末預言には中東を舞台とする大規模戦争の像が描かれており、現代のイスラエルとイランの対立がそれに重なる部分があることは否めません。ただし預言の解釈は多様であり、「ハルマゲドンの戦い」は最終的に全世界の軍勢がイスラエル周辺に集う世界大戦規模の最終決戦です。一連の出来事が直ちにそのまま預言の成就と断定することには慎重さが求められます。預言研究家スティーブ・マイアーズ氏は「これら終末預言は警告であり目覚ましであって、今こそ聖書に立ち返るべき時だ」と述べ、現状を終末に向けた神からのメッセージと捉える立場も紹介しています。いずれにせよ、多くの信仰者にとって今回の停戦とその前後の戦乱は、聖書が語る「世の終わりの兆候」を考察する契機となっています。
3. 現在の国際情勢と各国の動き
停戦成立までの過程では、中東の戦火が第三次世界大戦に発展しかねないとの懸念から、主要各国・機関が様々な対応や声明を出しました。特にイラン・イスラエル間の衝突が米露中を巻き込む事態は「最悪のシナリオ」とされ、国際社会は緊張状態に入りました。
- 米国・NATO:同盟国イスラエルを支援する立場の米国は、当初静観していたものの戦局悪化に伴い限定的軍事介入に踏み切りました。トランプ大統領は「今回の停戦は誰にとっても大きな勝利だ」と述べ、イラン核施設への攻撃によって「イランの核開発を数十年遅らせた」と自賛しています。ただし米政権内でも拡大抑制への慎重さが見られ、トランプ氏自身「両国とも(停戦を)違反した」と苦言を呈しつつ最終的に停戦遵守を強く求めました。米軍の介入によりNATOも緊急協議を行い、オランダ・ハーグで開催されたNATO首脳会議でも中東情勢が討議されています。NATO諸国は公式には紛争当事国ではないものの、多くの加盟国(英国やフランス等)は「イランに核兵器を持たせるわけにはいかない」と米国の措置に理解を示しつつ、迅速な停戦と外交解決を促しました。国連もグテーレス事務総長が「この紛争が制御不能に陥るリスクが高まっている」と深い憂慮を表明し、各国に即時の沈静化を呼びかけています。
- ロシア・中国:イランと友好関係にあるロシアと中国は、今回の米国・イスラエルの行動を強く批判しました。ロシア政府は「米国によるイラン攻撃は無責任であり、国際法違反だ」と非難し、紛争の拡大による中東情勢悪化に警告を発しています。プーチン大統領はイランのアラーグチー外相とモスクワで会談し「戦略的パートナー」であるイランへの支持を表明するとともに、米国の行動に対し「重大な懸念」を示したと伝えられます。一方、中国も政府系メディアが「米国はイラク戦争の過ちをイランで繰り返すつもりか」との論評を出し、武力行使より対話を優先すべきだと主張しました。中国は中東の不安定化が自国経済(エネルギー調達等)へ及ぶことを警戒しつつ、米国主導の軍事介入に否定的な立場を明確にしています。ロシア・中国ともに直接軍事介入には踏み切っていませんが、イランへの外交的・後方支援を強化する姿勢を見せており、これら大国がそれぞれ別陣営を支援する構図は冷戦後最大級の緊張を孕んでいます。
- 中東諸国(イラン周辺国):今回の紛争は、中東地域の他国にも動揺を広げました。イランと対立するサウジアラビアや湾岸アラブ諸国は、イスラエルの行動に一定の理解を示しつつも地域の安定崩壊を強く懸念しています。サウジ外務省は米軍によるイラン核施設攻撃に対し「深い懸念」を表明し、イラン主権の侵害を非難するとともに「これ以上のエスカレーション回避と対話による解決」を訴えました。トルコやカタールなども即時停戦と外交解決を呼びかけています。また、レバノン政府も「我が国がいかなる地域紛争にも巻き込まれないことが最優先の国益だ」と表明し、隣国イスラエルとイランの戦火が自国に飛び火しないよう神経を尖らせました。レバノンにはイラン支援を受けるシーア派武装組織ヒズボラがいますが、同組織は昨年のイスラエルとの衝突で指導部の多くを失い戦力が減退したとも言われ、今回は大規模な攻勢には出ていません。それでもヒズボラは依然イランの有力代理勢力であり潜在的な火種であるため、レバノン指導部は国内情勢の安定維持に努めています。
- イランの同盟勢力・代理勢力:イランと共闘する武装勢力も各地で動きを見せました。パレスチナ・ガザのハマスやイエメンのフーシ派は米国のイラン攻撃を「米・シオニストの侵略」と非難し、「聖戦と抵抗の戦線に加わる」と宣言しています。実際、フーシ派は紅海上の商船攻撃やサウジ領内へのミサイル発射を試み、ハマスもガザからの散発的な攻撃を続けました(ただし双方とも主力戦力はイスラエル・米国の反撃で大きく損耗)。シリアのアサド政権もイランの同盟国としてイスラエルを非難したと見られますが、シリア領内ではロシア駐留部隊との兼ね合いもあり直接的な対イスラエル攻撃は報じられていません。とはいえシリアにはイラン革命防衛隊やシーア派民兵が駐留しており、戦況次第ではシリア戦線が開かれる危険も指摘されていました。幸い大規模な地域戦争への発展は停戦成立により回避されましたが、中東全域で軍・民共に緊張が続いた数週間となりました。イスラエルとイランの応酬によってホルムズ海峡の安全も脅かされ、原油価格の乱高下や日本など輸入国への影響も懸念されました(日本政府は原油備蓄や在留邦人保護の検討を進めています)。
以上のように、各国はそれぞれの立場で動きを見せましたが、共通していたのは**「第三次世界大戦だけは回避せねばならない」**という認識でした。核保有国である米露が対峙しかねない状況下、幸い双方とも直接衝突を避ける抑制的行動を保ち、また欧州・国連を含む国際世論が早期停戦を強く求めたことも功を奏しました。結果として大戦への発展は免れましたが、依然として予断を許さない緊迫した国際情勢が続いています。
4. 専門家や宗教指導者の見解
今回の停戦と紛争に関して、軍事・外交の専門家や宗教界の指導者から様々な意見が出されています。
宗教指導者・預言専門家の見解: キリスト教会の中には今回の戦いを「終末預言の文脈」で捉える指導者も多くいます。米国の有名な伝道師グレッグ・ローリー牧師は「この出来事は聖書預言の具体的成就ではないにせよ、確実にそれを予感させるものだ」と述べ、特にエゼキエル書のゴグ・マゴグ預言に言及しながら「ペルシャ(イラン)とイスラエルの対立構図が預言の舞台装置と符合する」と指摘しています。彼は信徒らに対し「軽視せず注意深く見守り、祈り備えるべき時だ」と呼びかけました。同様に、預言研究家のスティーブ・マイアーズ氏も「聖書の黙示録16章には全世界規模のハルマゲドンの戦いが予告され、そこにはイスラエルとイラン及びその同盟国の関与が示唆されている」として、今回の紛争が終末時代の対立構図と一致するとの解釈を示しています。彼は「いまこそ神を求め、目を覚ますべき時だ」と強調し、終末が近いとの視点から人々に信仰的警鐘を鳴らしました。さらに米国の有力牧師ジョン・ヘイギー氏(クリスチャン連帯組織CUFI代表)は「イスラエルにはイランを叩く以外に選択肢はなかった。イスラエルの行動はユダヤ国家だけでなく自由陣営全体を守るためのものであり、我々は日和見せず常にイスラエルと共に立つべきだ」と述べ、今回の攻撃を擁護しています。ヘイギー氏は「イランという中東の悪に未来はない。最終的にイラン国民自身が国を取り戻すしかないが、イスラエルはその扉を開け世界に呼吸する余地を与えたのだ」とまで語り、今回の出来事を善と悪の戦いの一環と捉える見解を示しました。
キリスト教内の慎重論: 一方、キリスト教界には預言と時事を直接結びつけることへの戒めの声もあります。米国の神学者ラッセル・ムーア氏は「私たちは終わりの時代に生きているが、イエスはその日付を正確に知ることはできないと言われた」と指摘し、毎度のように地政学イベントを黙示録と重ねて煽る風潮を批判しました。ムーア氏は、過去にも「イスラエル建国から40年以内に再臨が起こる」といった解釈が1988年には外れ、ソ連崩壊後には今度はイラクやサダム・フセインを新バビロンになぞらえるなど、預言解釈の過剰な確信は度々裏切られてきたと指摘していますc。彼は、人々が「今起きている最悪の事態がやがて最良の結末につながる」と信じたがる心理や、終末論的な興奮に酔う傾向に警鐘を鳴らし、「預言の解釈に夢中になるあまり、肝心の福音の真理や日々の信仰がおろそかになっては本末転倒だ」と述べています。ムーア氏はまた「状況が急速に悪化する様子を見れば第三次世界大戦の可能性を不安視するのも無理はないし、終末が近いのではと考えるのも人情だ。しかしイエスはその再臨が来る時、人々はかえって日常の只中にいるものだとも警告された(マタイ24:37-44)。大事なのは具体的な日程よりも、どんな時代になろうと信仰に基づいて正しい決断を積み重ねることだ」と述べています。このように、キリスト教内部でも**「終末は近い」という見解と「時期尚早な断定は避けよ」という見解が併存している**状況です。
世俗専門家の見解: 宗教的文脈外でも、今回の紛争については多くの専門家が論評を行いました。米コロンビア大学教授で経済学者のジェフリー・サックス氏は「イスラエルによる狂気じみた攻撃が、本当に我々全員を破滅に導く可能性がある」と述べ、現在の状況を「聖書の黙示録に預言された終末・ハルマゲドンの前兆ではないか」と支持する全米数百万の福音派の存在に懸念を示しました。サックス氏は「ネタニヤフ首相は長年、イラン攻撃と米国を戦争に引き込むことを狙ってきた。米国第一を掲げたはずのトランプ大統領も結局“戦争大統領”になってしまった」と指摘し、キリスト教右派の終末論的思惑が外交政策に影響を及ぼす危険性を「恐ろしいことだ」と強調しています。一方、日本の安全保障専門家からは「米国の中東関与縮小の流れが今回逆行し、パンドラの箱を開けてしまった」との分析も出されています。日本国際問題研究所の中川浩一研究員は「追い込まれたイランは核開発続行やホルムズ海峡封鎖、米軍基地攻撃など数々の報復オプションを持ち、中東は未曾有の危機局面に突入した」と指摘し、停戦成立後も予断を許さないとの見通しを示しました。総じて専門家の見解から浮かび上がるのは、この紛争が世界規模の破局(第三次世界大戦や核戦争)につながりかねない重大事であったという点と、それでもなお各国指導者の判断次第でシナリオは変わり得るという点です。宗教的期待や思惑が事態を動かす危うさを指摘する声もあり、冷静な外交的解決の重要性が改めて認識されています。
5. 総合的評価:第三次世界大戦・終末の予兆と言えるか
イラン・イスラエル間の停戦成立に至る一連の危機は、世界を大戦の瀬戸際まで緊張させました。この出来事が**「第三次世界大戦の引き金」や「聖書預言された終末の兆候」**と言えるかどうか、総合的に評価するには慎重さが求められます。
まず軍事・国際政治の観点から見ると、今回の紛争は極めて危険な局面まで進みましたが、結果として全面戦争(WWIII)の勃発は回避されました。
イスラエルとイランの直接衝突に米国が介入し、対するロシアや中国が強い不快感を示したことで、一時は東西の大国が中東を舞台に衝突する懸念が高まりました。しかし各国とも第三次世界大戦は望んでおらず、最終的に米露中は直接軍事衝突を避ける形で折り合いをつけています。特にトランプ政権はイスラエルを支援しつつも最終局面で外交圧力を行使し停戦を実現させ、ロシアもイラン支援は口頭に留め米軍と直接戦火を交える事態を避けました。また欧州諸国や国連が一致して外交的解決を迫り、地域大国のサウジアラビア等もエスカレーション回避を強調したことは、戦線拡大の歯止めになったと考えられます。
このように、多極化した国際社会においても**「大戦は不可避ではない」ことが示された点は注目に値します。むろん不安要素が消え去ったわけではなく、停戦後もイランが核開発を放棄しなければ再戦火の火種は残ったままです。イランが追い詰められて選択肢を誤ればホルムズ海峡封鎖や対米報復攻撃など世界経済と平和への深刻な脅威が現実化しかねず、その場合は局地戦から地域戦争、さらには米露を巻き込む世界戦争へ連鎖するリスクも依然あります。現状では各国が土壇場で理性的判断を下したことで最悪のシナリオは避けられましたが、「第三次世界大戦の可能性がゼロになった」と断言することはできません。むしろ今回の危機は、現代の紛争が核拡散や同盟網を通じて一挙にグローバルな破局へ繋がり得る**ことを改めて示し、国際社会にとって大きな警鐘となりました。
イエス・キリストは「その日その時は誰も知らない」と語り、終末の日取りを特定することを戒めました(マタイ24:36)。従って今回の停戦劇を「黙示録の成就」と直結させることには慎重であるべきでしょう。むしろ重要なのは、たとえ終末が近いとしても日常の中で何を成すべきかという点です。
ロシア・ウクライナ戦争やパンデミック等と合わせ「世の終わりの様相だ」と感じる出来事が相次ぐ中、終末論は人々に謙虚さと備えを促す一方で、不安や過熱を煽りすぎないバランス感覚も求められます。
まとめ
総合すると、今回のイラン・イスラエル停戦とその前後の紛争は「第三次世界大戦の可能性」と「終末預言の兆候」という二つの観点で語ることができますが、現時点でそれが決定的に現実化したとは言えないというのが妥当な評価でしょう。
第三次世界大戦については瀬戸際で回避され、終末の予兆についても「そうとも取れるし、そうでないとも言える」という段階です。しかしこの出来事が世界に与えた衝撃は大きく、核開発や地域紛争が如何に世界平和を脅かすかを痛感させました。そして多くの人々が「平和と安全」を渇望する一方で、心の奥底では「もしかすると…」という終末への不安や予感を抱いたことでしょう。
聖書的には「人々が平和と安全だと言っているその矢先に破滅が襲う」との一節(テサロニケ人への第一の手紙5:3)もあります。今回の停戦が真の平和につながるのか、それとも一時的な“小康状態”に過ぎないのか――歴史の帰趨は予断を許しません。
私たちとしては、大国間の理性的対話と地域紛争の予防に努めつつ、仮に終末的状況が訪れたとしても慌てることなく人道と信義を守り抜く覚悟を持つことが求められています。
「終末か否か」は後になって初めて明確になるものかもしれませんが、今回の出来事が世界と私たちに突きつけた課題(核拡散防止、平和構築、信仰の意義など)は極めて現実的かつ喫緊のものと言えるでしょう。
参考文献・情報源
イラン・イスラエル停戦関連の報道cbsnews.comjp.reuters.com
国際社会の反応分析cbsnews.comcbsnews.com
専門家の論考iwj.co.jpjiia.or.jpなど。